岡村靖幸さんのラジオ文字起こしブログ

岡村靖幸さんの出演ラジオを文字起こししています。

岡村靖幸・小出祐介(Base Ball Bear) TS ONE selection『PREMIUM ONE』2016年4月4日

岡村 どうも岡村靖幸です。

小出 どうもBase Ball Bear小出祐介です。

小出 え~もう番組も3回目でございまして……

岡村 ですね。はい。

小出 どうですか?その、慣れてきました?こういう感じ。

岡村 ん~~~!そうですね、慣れてきました。頑張ってます。

2人 (笑)

小出 なんか今んとこ、ほら僕、すげぇ喋るじゃないですか。

岡村 はい。

小出 岡村さんほら、あんまり自分のこと喋りたがらないじゃないですか。

岡村 そんな感じある?

小出 こういう場になると。

岡村 (笑)

小出 いつもめっちゃ喋んのに(笑)

岡村 うんうんうん。

小出 急にオンエアーになると、ちょっとこう、「そうですか……そうですか……」ってかわすじゃないですか。

岡村 なんでだろう?

小出 ねえ。それをちょっとずつ解き放っていきましょうよ今後。

岡村 はいっ!

2人 (笑)

小出 じゃあそういう感じで。じゃあ早速今日の1曲の曲紹介お願いします。

岡村 はい、岡村靖幸で『新時代思想』。


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小出 (PREMIUM ONEの紹介)あの、もう思いっきり4月になりましたけども。

岡村 そうですね。

小出 新生活的な時期じゃないですか、この時期。

岡村 はい。

小出 でも僕らも、そういう感じ全然ない……

岡村 ないっすね。

小出 ないじゃないですか。4月になってリセットされる感って、多分世間ほどない……業界じゃないですか。

岡村 全くないですね。

小出 むしろなんかこの時期って大体3月4月のツアーとかでやってるから、で、3月が年度末じゃないですか。

岡村 そうですね。

小出 なのに僕らもう跨いじゃってるから、あんま関係なかったりするでしょ。

岡村 そうですね。

小出 このなんか世間とのタイムラグというか……ちょっと寂しくないですか?

岡村 そうですね、なんかフレッシュマン感みたいな感じないので……

小出 あの、リクルートスーツ的なものって着たことないでしょ多分、岡村さん。

岡村 ないですないですないです。小出くんは高校終わってからガツってプロになるまでってどのぐらいタイムラグあるの?

小出 え~と、1回大学入るんですよ。

岡村 はい。

小出 大学入った瞬間、周りの同級生たちのノリが気持ち悪くて、「もう無理だなあ」と思って(笑)

岡村 え~!

小出 「キモい無理やめる!」みたいな感じで。

岡村 え~!

小出 で、ゴールデンウィーク入る前にもう辞めちゃったんですよ。

岡村 そうなんだ。我慢できなかったの、それは?

小出 無理でしたね~。岡村さんはその、大学とかは行ってないんですか?

岡村 行ってないです。僕、もう18歳ぐらいにはこの仕事してましたね。

小出 早っ。

岡村 う~ん。

小出 18で最初はその、作家さん的な活動なんでしたっけ?

岡村 うん。作曲とか、あとアレンジとかやってましたね。

小出 18で?

岡村 うん。

小出 じゃあもうリクルートスーツとか全く無縁ですね。

岡村 ないの。だからそう、小出くんみたいに、大学入ってこう、"桜と凛とした僕"みたいなのもないし……

小出 (笑)

岡村 1回就職して、"リクルートと桜と僕"みたいのもないし……

小出 アルバイトは?

岡村 ないんですよ。

小出 アルバイトもないんですか!

岡村 うん。でも高校生の時に、その、バンドマンというか、箱バンみたいなのやってましたけど。

小出 箱バン!?

岡村 昔キャバレーがあったんです。

小出 はいはいはい。

岡村 キャバレーってあれですよ?かっこいいキャバレーじゃないですよ。

小出 ほお。

岡村 今でいうクラブですね。あの~銀座のクラブとか。そういうところに、昔ね、カラオケがなかったから生バンドが入ってたんです。

小出 はいはいはい。

岡村 そこで演歌を歌う人がいたりとか。

小出 お客さんですよね。

岡村 ムード歌謡を歌う人たち。その人たち用に演奏する人たちがいるんです。それを箱バンって言うんですけど。

小出 それをやってたんですか?

岡村 やってました。

小出 えええ!それ何歳くらいの時ですか?

岡村 高校生。

小出 え~~!それ何弾いてたんですか?

岡村 ベース?

小出 ベースやってたの!

岡村 (笑)やってました。

小出 それでもすごいですね。いきなりそれやることになったんですか?最初。

岡村 う~ん、なんかヤマハに貼ってあったんですよ、『募集』って。

小出 (笑)え、すごいですね。で、そっからもうそのまま作家になってくるんだ。

岡村 そうですそうですそうです。

小出 で、その作家の流れでもうメジャーデビューでしょ?

岡村 はい。

小出 で、"岡村靖幸"になっちゃうってことですね。

岡村 うん。

小出 あ~……まあでもそれ選ばれし者じゃないですか完全に。

岡村 ん~~~~……だからそのね、どうなんすか。デビュー早いと……どうなんだって思ってます。

小出 あ~……僕もまあ比較的早い方なんですよね、21なんで。で、確かに、あの~まあ岡村さんももしかしたらあったかもしれないですけど、やっぱ最初の頃、特に社会経験全然積んでないままアーティストになっちゃうから、なんかわがままになっちゃいません?

岡村 あとなんか、普通に社会生活を送って、そこで色んな思いをしたことが後でこう、作家活動とかにすごい役立ってるとか言う人多いから。

小出 あ~はいはいはいはい。

岡村 ミュージシャンでもそういうこと言ってる人多いですし。

小出 まあ多いですよね。

岡村 結構ね、僕より10年以上デビュー遅いんだけど年齢同じぐらいの人結構たくさんいて。ミュージシャンがね。そういう人たちもそういうこと言ってたりするから、そういうこう、社会生活での中の経験も大事なのかな。それは……

小出 ね。

岡村 ね。

小出 まあだからどっちが正解っていうわけではないんですけど、でもなんか……ね。ちょっと僕らからすると、まあ、それなりの社会生活をちゃんと営んでからの方が、曲の日常感というか。

岡村 色んな曲も聴いただろうしね、その間にね。

小出 そうそうそう。そういうのとかっていうのが僕の場合後付けになっちゃってるんで。

岡村 小出くんもあれですか、意外とあんまりそういう経験せずにプロになりましたか。

小出 全然ですよ。

岡村 そっかそっか……

小出 アルバイトも僕全然。ライブハウスでアルバイトができたんですけど。

岡村 うんうんうん。

小出 っていうくらいで。あの~1回スーパーのバイトに入ったんですけど、あの~……揚げ物のコーナーだったんですよ。油まみれでやるんですね。床の掃除とか鍋の掃除とか。

岡村 大変そうですね。

小出 そう。で、2回ぐらい行ったんですけど(笑)で、2回目終わって、自分のロッカーがあるんですよ。ロッカーに戻って、当然あの頭にネットみたいなの被ってるんで、それを外してさあ着替えようってなった時に、ロッカーの内側にこう、鏡がついてるんですよ。それに映ってる自分の顔見て「あ、これミュージシャンの顔じゃない」って言ってやめちゃったんです(笑)

2人 (笑)

小出 不適合者でした。

岡村 そうですか。

2人 (笑)

小出 はい。

岡村 わかりました。

小出 そういう感じで(笑)(PREMIUM ONEの紹介)

小出 じゃああの~早速ですね、今日の気分で掛ける1曲を。

岡村 はいはい。これ出たのいつでしたっけ?去年?2年前?

小出 2年くらい前ですかね?

岡村 あ~いい曲だなと思って。聴いてみましょうか。槇原敬之で『Fall』*1


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小出 え~槇原敬之さんの『Fall』でございますけど……

岡村 はい。

小出 これすごいいい曲ですよね。

岡村 そう。

小出 ドラマの主題歌だったんですけど。

岡村 でしたっけ。

小出 僕もこれ聴いた時「うわ~これはめっちゃいい曲来たな!」と。

岡村 う~ん。

小出 実際僕の周りのみんなも「うわめっちゃいい曲来た」みたいな感じになってました。

岡村 そうね、曲いいし詞いいしね。

小出 デビュー当時のと言いますか、ちょっとトレンディーなドラマ主題歌とかよくやられてた頃の匂いのする。聴き手側からすると、マッキーっぽい曲を自分でやってるみたいな(笑)

岡村 そうだよね、自分で自分を。色っぽい曲だしね。いいなと思いますこの曲。

小出 いいですよね。槇原敬之さんって詞先なんですよね。

岡村 そうかも。なんかそんなこと聴いたことある。

小出 だから結構あの~、譜割りが余ってたりするんですよね結構。

岡村 あ~そうか、字余りみたいなね。

小出 字余りだったりとかするんですけど。そういうのは詞先だかららしいですよ。だから羨ましいですよね。

岡村 あ~そうなんだ。へ~……

小出 詞から曲に入れる。

岡村 詞先はめちゃめちゃ大変だと思いますけどね……。

小出 ないですか?詞先の経験。

岡村 あ~だから、作曲家の頃はあります。作曲家の頃は詞先を渡されて、詞を渡されて。

小出 うんうんうん。

岡村 でも自分のことやるようになってからは、1、2曲?

小出 あ~そうすか。

岡村 自分は?

小出 僕も、アマチュアの頃はね、もう逆に詞ばっかだったんですよ。

岡村 あ、そうなんだ。

小出 で、全然曲が付いてかないみたいな感じだったんですけど。で、そのなんか分量がだんだんこう、イーブンになってきて。やっぱり言いたいことあるから……

岡村 うん。

小出 意外とその、調整効くっていう感じだと思うんですよね。多分言いたいことないと辛いんだと思うんですけどね。

岡村 でも言いたいことあっても、それ上手にグルーヴにするの難しいって感じですね。

小出 まあ岡村さんの曲はやっぱ、言葉ハメんの難しいだろうな~とずっと思ってましたよ。

岡村 うん、難しいんです。

小出 リズムがね。なんか日本語の発音と、欲してる音の発音の……

岡村 もう逃げ出したいなあってよく思いますもん。

小出 (笑)よく言ってますもんね。

岡村 はい。

小出 じゃあまあ、その作詞のヒントみたいなのもこの番組で見つかるといいなと……

岡村 がんばる~!!!!!!

2人 (笑)

小出 がんばる~!って(笑)じゃああの、僕の1曲いいですか。

岡村 はい。

小出 えーと浜田金吾さんのですね、『レイニー・ハート』という曲なんですけれども。

岡村 はい。

小出 浜田金吾さん自体はソロ歌手でありながら作曲家でもあるんですけども。で、あの元々ムーンレーベル*2っていうですね、山下達郎さんの今のレーベルになってるところがあって、で、そこから出た作品なんですけども。

岡村 いつ頃?

小出 83年ですね。『MUGSHOT』ってアルバムの中の収録曲なんですけど。いわゆるこう、和物AORとかシティポップ好きの方達から、じわじわ評価されてたような作品で。僕すごいこのアルバム大好きなんですけど。

岡村 あ、そうなんだ~。聴いてみようかな。

小出 なんですかね、こう洋楽っぽい感じ……っていうのは、洋楽ネタと言いますか、向こうのAORネタみたいなのはすごい盛り込まれてるんですけど、そこにちゃんと歌謡曲感と言うんですか。

岡村 うんうんうん。

小出 なんかあの、日本独特の土臭さみたいなのがちゃんとあって。

岡村 上手に着地させてる?

小出 そうですそうです。それがすごい好きだなっていう曲です。


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小出 はい、浜田金吾さんで『レイニー・ハート』でございました。ね?かっこいいでしょ?

岡村 ほんとですね。なんかムーディーで。AOR感があって。

小出 そうなんですよ。で、なんかこう、リズムの決めとかのネタが、もうすごい大ネタだなあみたいな(笑)

岡村 ほんとですね。タララララララ~♪↑みたいなね。

小出 「こういうの俺もやりたい!」みたいな(笑)

岡村 (笑)やってくださいよぉ!Base Ball Bearで。

小出 いいっすね、全然やりたいです。このね、ババッ!とかね。

岡村 (笑)そう。

小出 すげえやりたいです。

岡村 ホーン入れてね今度は。

小出 はい、入れます。

岡村 ぜひぜひ。

小出 サックスソロとか憧れるんですよね。

岡村 あ~いいっすね!ほら、Base Ball Bear言ってたじゃないですか。なんか「今度からちょっと色々トライしてみる」っつって。その、メンバーも変わってって。聴いてみたいです、AOR感のあるBase Ball Bearとかね。

小出 あ、めっちゃやりたいです。

岡村 アーバン。アーバンなね(笑)

2人 (笑)

岡村 斜に構えてちょっと都会の、なんかね。聴いてみたいです。

2人 (笑)

小出 シャンパングラス片手に。

岡村 あ~いいですねえ。ジャケットもこんなんなっちゃって。

小出 (笑)あの、PVで、ヘリコプターからシャンパンをこうブワーッてぶちまけるとかやりたいですね。

岡村 (笑)いいですねえ。あ、やってほしいですねBase Ball Bearでそれ。

小出 はい(笑)

岡村 ぜひぜひ。

小出 (TS ONEの紹介)

小出 で、あのもうメッセージもですね、早速届いておりまして。ちょっと1個紹介したいと思います。大阪太郎さん、女性です。「放送楽しみにしております。番組スタートおめでとうございます。仕事中に聞いてると思うので、やる気がみなぎって楽しくなる音楽と、この番組で出会えたら嬉しいです。あと私は映画の仕事をしているので、お二人の好きな映画音楽にとても興味があります。」ということなんですけど。今日僕たまたまね、この後ちょっと映画の音楽を紹介する流れになってるんでね。ね、やっぱ岡村さんも僕も映画好きですからね。

岡村 好きですねえ。

小出 サントラ特集とかもいいんじゃないですか?

岡村 いいですね。今度やりましょうか。俺もサントラだけで好きなの何枚かあるので。

小出 そうですよね。映画観てないけどサントラだけ(笑)

岡村 そうなんですよ、サントラだけ大好きみたいな。

小出 結構あるんですもんね。

岡村 ありますあります。

小出 そういうのもね、今後。

岡村 タイミングあったら。

小出 タイミングがあったらね。今後やっていきましょう。はい、じゃあ続いてはですね、お題選曲のコーナーでございますけれども。今回のお題は結構いきなりマニアックなんですけども。

岡村 これは難しかった。

小出 『山の頂上で聞きたい1曲』と。

岡村 う~んうん。これがね、何が難しいって、山の頂上ってどんな気分かって話ですよ。

小出 それをまず考えるのに時間かかりましたよね。

岡村 そう。だからちょっと開放感があると。それで「わあ~~!!!」みたいなイケイケのやつで行くのか。ホーリーな感じもあるわけでしょ?なんかこう山があって、空気がきれいで、澄んでる感じ。あるわけでしょ?だからこれちょっとホーリーな感じで行くのか……悩みました。

小出 ですね。

岡村 どの気分でいくんだよっていう。

小出 僕もだから、山の標高によっても変わってくるじゃないですか(笑)

岡村 (笑)あ、そうっすね。

小出 あのなんか、高尾山みたいな……

岡村 ヘロッヘロ……そこの状態、自分の状態もありますしね。

小出 そうなんですよ。ハイキングで行ったのか?それとも、もうすっごいもうなんですか、クリフハンガー*3みたいな状態になってるのかによっても変わってくるから。

岡村 ですね。

小出 そのなんかイメージする山によってちょっと違うかなとは思うんですけど。じゃあまあ早速岡村さんから。

岡村 これ難しい。みんなが「え~!」って言うかもしれないけど聞いてみましょうか。イエスで『Roundabout』*4


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岡村 はい。えーっとイエスで『Roundabout』。途中でね、すごいこの曲スペイシーになるんですよ。

小出 なりますね。うん。

岡村 そのなんかこう、俺は夜の山の上をちょっと……満天の星空みたいなのを。

小出 あ~なるほどなるほど。

岡村 ちょっと思いましたねえ。

小出 それで聴くと確かに。

岡村 わかります?

小出 わかりますわかります。

岡村 スペイスィー。

小出 スペイスィーですね。オルガンのサウンドとかさ。

岡村 はい。

小出 それがいいですよね。

岡村 そうですね。

小出 なるほど。じゃあ僕なんですけど。僕はそういう意味では、ちょっとホーリー路線なんだと思います。

岡村 はいはい。

小出 僕の山の頂上に聞きたい曲はですね、増田壮太さんという方の『僕らはシークレット』という曲なんですけど。この増田壮太さんって2010年に実はもう亡くなられてる方で。

岡村 2010年?

小出 自殺してしまった方なんですけど。で、この増田壮太さんのドキュメンタリーがですね、大体2年ぐらい前に公開されて。『私たちに許された特別な時間の終わり』っていう、要はモラトリアムの終わりっていう映画なんです。で、10代のうちにバンドコンテストで優勝したりとかして、将来すごい待望された方だったんですけど。あの~やっぱこう、性格的に多分ちょっと難しい方で、なんかあんまりこう人間関係がうまく築けないタイプの人なんですよね。

岡村 あ、結構いいとこまで行ったんだけど、センシティブすぎてちょっとうまく馴染めなかったみたいな。

小出 そうなんですよ。なんかこううまく……なんていうんですかね。営業的な立ち回りがあんまり得意ではなかったみたいで。なんかこうチャンスを逃しちゃうような……っていうのが結構度々あって。で、ある時にはやっぱちょっと生活も苦しくなって、音楽やるか生活するかって言って、やっぱりもう生活しなきゃいけないって言って、就職をされるんですよ。音楽辞められて。ってなったら、やっぱ多分少しずつ心を病んでしまって。最終的にまあどういう流れで亡くなったかっていう、遺書とかはなかったんでわかんないんですけど、まあ亡くなられてしまうまでっていうのと、彼が亡くなった後に、僕らは増田さんが亡くなったことをどう消化するか……っていうのが、増田さんのお友達だった太田慎吾監督って方が撮られてる映画なんですけど。この映画の公開記念で当時の音源がベスト盤として発売されて、それで僕この映画きっかけで聴いたんですけど。すごいね、こう……こんな才能ある人だったのに!っていう。もう本当にね、ちょっとやっぱ音源聞いて悔しくなったというか。すっごい瑞々しいんですよ、アルバムが。

岡村 なんか言ってましたね。だいたい同い年ぐらいでこの世界に入ろうとしたのも大体小出くんと同じぐらいみたいな。

小出 そうですね。僕とほんと1個ぐらいしか違わなくて。で、下北沢のライブハウスとかに多分出られてて。

岡村 出入りしてたところもじゃあ近かった?

小出 多分ね、そうなんですよ。だから映像とか観てても、なんかこう自分のタイム感と近い映像がずっと流れてくるから。僕もなんかこう、やっぱ他人事じゃないなと思いながら観てる映画だったんですけど。で、やっぱりね、増田さんは亡くなってしまったけど、でも音はすごいフレッシュで、瑞々しくて。だからやっぱこう、なんか死んでも音楽っていうのは、死によって鮮度が落ちるものじゃないんだっていうことをすごい感じた作品なんですね。っていう1曲を聴いていただきたいと思います。

岡村 なるほど。

小出 増田壮太さんで『僕らはシークレット』。


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小出 これね、あの僕やっぱちょっとびっくりしたんですけど、ギターの音がすっっっごいんですよ。こうやって録れないなと思って。どうやってこんなに録ったんだろうと思って。僕この……

岡村 ビブラート掛かってますよね。

小出 そう、掛かってるんですけど、マイキング*5なのか、こんなに生々しくどうやって撮ってんだ!って思って。で、これを僕すごい研究して、1個前のその『C2』ってアルバムを作ったんですよ。だからすごい影響を受けました。増田さん。

岡村 へ~~~。あと歌詞がね、すごい繊細で、こうポエトリーな詞ですよね。

小出 そうですね。これがもうちょうど映画の最後に流れるんですよ。ドキュメンタリー映画の終わりに、『僕らはシークレット』っていう曲で終わるってのがすごいなと思って。その構成も。

岡村 う~~~ん。

小出 さあそんな感じで、じゃあちょっと次のお題も行っていいですかね。はい。『来日するエリッククラプトンで1曲』。

岡村 はい。

小出 あの~、今度ですね来日公演がまたありまして。もう何回目なんですかね?これもう。

岡村 しょっちゅう来てますよね。

小出 年1ぐらいで来てんじゃねえかぐらいの感じで(笑)来日公演ありますけれども。4月13日から19日で、14日と17日はお休みらしいんですけども。また結構何日間か
日本武道館でライブがあるということなんですけども。岡村さんはクラプトン通ってますか?

岡村 通ってますね。一時期すっごい好きでしたね。僕ほらビートルズすごい好きだったから。ビートルズがすごい仲良かったし、ビートルズのアルバムにも参加してるし。そこからクラプトン聴くようになって、で、クラプトン聴くようになってからクラプトン周りの人も。

小出 あ~~はいはい、なるほどなるほど。

岡村 聴くようになって。そこからこう、広がってきましたね色々。僕が聴き始めた頃にクラプトンはちょうどアーシーな、レオン・ラッセルとかデラニー&ボニー*6とか、南部系っぽい音楽に傾倒してた頃に僕もそれ聴くようになって、そこからレオン・ラッセルからジョー・コッカーとか色んなの聴くようになって広がりましたね。

小出 僕クラプトンって、僕が知ったクラプトンはもうとっくにガンガン歌ってたし。

岡村 ふんふん。

小出 「チェンジ・ザ・ワールド」のおじさんって感じだったんですよ、最初はね(笑)入りが。

岡村 それはもう結構あれだね。

小出 かなり後期だと思うんですよ。

岡村 うん、後期ですね。

小出 僕が知ったのは多分そんくらいなんですけど。で、要はギターを始めてからちゃんとエリック・クラプトンという人を知ったら、「え、この人どっちかっていうとギタリストだな!」というか。

岡村 (笑)後情報だったんだ。最初は何、「渋いおじさんだな~」と思ってたの。

小出 いやそうなんですよ、そうそう。なんか、あ~「メガネの渋いおじさんだな~」って最初は思ってた。シンガーだと思ってたんですよね。で、そしたら遡ってったら、「うわめっちゃギタリストじゃん」というか。

岡村 三大ギタリストですよ。

小出 そうですよね、いわゆるね。

2人 (笑)

小出 ギターキッズが必ず通る。

岡村 そうそうそうそう。

小出 三大ギタリストと言われてるんですけど、まあこのクラプトンの来日に合わせ
て。

岡村 はい。

小出 せっかくなんでクラプトンで1曲という感じなんですけれども。じゃあまず僕からじゃあいいですか?

岡村 はい、いいです。

小出 僕が、僕もねクラプトンすごい好きな曲たくさんあるんですけど、曲単位で言うとですね、一番好きなのは、あの~『アイ・ショット・ザ・シェリフ』*7なんですよね。

岡村 ああ、あれいいよね、俺も大好き。

小出 あれめっちゃいいですよね。でもただこれって、クラプトンのソロのねすごい大ヒット曲ではあるんですけど、これってあの厳密に言えばボブマーリーの……

岡村 曲ですよね。

小出 カバーじゃないですか。

岡村 カバーですよね。

小出 純然たるクラプトンっていうところで選びたいなと思って。

岡村 あ~。

小出 すごい好きなんですけどこの曲。で、自分が一番クラプトンで聴いてたアルバムなんだろうなと思って見直してみたら、映画『ラッシュ』のサントラなんですよ。

岡村 なるほど。

小出 で、クラプトンってすごいサントラもやってるんですよね。

岡村 やってますね。

小出 だって『リーサル・ウェポン』とかだって……

岡村 あ~……そうかもね。

小出 ね、クラプトンですもんね。

岡村 そうかもね。

小出 すごいたくさんやられてるんですけど。で、このまあ『ラッシュ』のサントラはなんか、えーとこう、ちょっとダークめなというか、ちょっと暗めなというか。ギタープレイが堪能できる1枚なんですよね。で、僕この『ラッシュ』って映画見たことないんですけど。

岡村 映画もね、俺もちゃんと覚えてないですけど、そういうダークなやつだった……

小出 あ、そうですか。

岡村 いや……気が……俺も自信ない。

小出 じゃあ後々観てみようかな(笑)

岡村 この前の10ccの時も言ったけど(笑)あんま自信ない(笑)

小出 あんま自信ない(笑)で、このアルバムなんで俺こんなに聴いたのかなと思ったら、最後の曲がね、『ティアーズ・イン・ヘヴン』なんですよ。

岡村 お~、じゃあ大ヒットしたんですねこれね。

小出 そうそう。で、この『ティアーズ・イン・ヘヴン』ね、単曲だと俺正直そこまで残ってないんですけど。

岡村 へ~。

小出 曲はね、物凄いこうストーリーのある曲ですけど。全体を聴いて、前半7曲ぐらいがインストで、ずっと結構暗めなトーンで始まって、で、8曲目9曲目10曲目が歌ってる曲なんですよ。

岡村 はい。

小出 で、9曲目がカバー曲なんですけどバディ・ガイ*8っていうブルースのギターの人いるじゃないですか。あの人と一緒にやってる曲で10分ぐらいの曲なんですよ。

岡村 ふん。

小出 多分セッションバトルみたいな。

岡村 なるほどなるほど。

小出 感じのがあって最後に『ティアーズ・イン・ヘヴン』。

岡村 なるほどなるほど。

小出 なんかすごいお腹いっぱいになるっていう。

岡村 なるほどなるほど。

小出 あの、まあ選び方としてはちょっと亜流かもわかんないんですけど、ちょっとこのサントラの中からインストをちょっと1曲聞いてもらいたいなと。はい、思います。映画『ラッシュ』のサントラより『コールド・ターキー』。


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小出 めっちゃもう泣きまくってます。

岡村 ね~。

小出 僕やっぱクラプトンね、やっぱプレーが聴きたいっていう感じなんだと思うんですよね。だからやっぱ他にも聴いてたのはやっぱりライブ版が多いですね。

岡村 あ、そうですか。ライブ盤名盤ありますよね。

小出 クリーム*9時代のをよく聞いてたかな。

岡村 あ、ほんとに。クリームとかも聴くの?

小出 聴いてました聴いてました。

岡村 へ~。幅広いねえ。

小出 いやいやいや……一応やっぱギターキッズだったんで。

岡村 むか~しのやつもすごい聴いてるしね。

小出 まあまあまあ、親父の影響とかもやっぱ結構あるんですけどね。はい、じゃあ岡村さんのクラプトンの1曲は。

岡村 僕の方はね、クラプトンがそれこそクリームを解散して、ソロになって1枚目2枚目?ぐらいですかね。バンドを組むんですよ。デレク・アンド・ザ・ドミノスっていう。その、いわゆる名盤ありますよね。『愛しのレイラ』っていう。

小出 ありますね。

岡村 それの2曲目ですかね。すごいいい曲ですけど。聴いてみますか。はい、デレク・アンド・ザ・ドミノスで『ベル・ボトム・ブルース』。


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岡村 はい。デレク・アンド・ザ・ドミノスで『ベル・ボトム・ブルース』でした。

小出 はい。

岡村 いい曲ですよね。

小出 このアルバムやっぱすごい聴いてました?

小出 聴いてました。めちゃめちゃ聴いてたかも。

岡村 このアルバムから、めっちゃボーカリストとしても、すごい良いボーカリストだなと思ったし。クリームの時は全然思わなかったです。1stの時も思わなかったです。でもこのアルバムから、この時のキーボーディストもすごいボーカルうまかったんですけど、その影響もあるんでしょうけど、すっごいボーカルがいい。曲、いい曲書く。ギタリストとしてすごかったんだけど、このアルバムからすごいいい曲、歌声もいいなって思って。すごい愛聴しましたね。このアルバムは。う~ん。

小出 なんかやっぱり『愛しのレイラ』とかって絶対ほら、クラプトンをコピーすると……

岡村 ベタだよね。

小出 絶対やるじゃないですか。

岡村 タララララララ~。

小出 でもこれって1人じゃ弾けなくないですか(笑)

岡村 そうですね。(笑)

小出 だから僕それ気づいて、「うわ、これ1人じゃできねえリフじゃん」ってなって、結局ディープ・パープルとかに行っちゃうんですよ。

岡村 あ~。

2人 (笑)

岡村 でもブルース感小出くんってあんまないから。ブルースとか聴くんですか?

小出 いやでも~……まあ聴いてないわけじゃないですけど、わかってるかどうかは怪しいですよね。

岡村 小出くんの中に酔いどれ感がないから。酔いどれ感とかやさぐれ感とか。

2人 (笑)

小出 やさぐれ感ね(笑)

岡村 なんかこう、放浪感とか、なんか野生の吟遊詩人みたいな、なんかこう……

小出 野生の吟遊詩人ってなんですか(笑)

岡村 普段酒場にいるんだけど、なんかこう酔いに任せてなんか詩を書くぜみたいな……

小出 (笑)

岡村 そういうなんか、酔いどれ感がないから。

小出 そんな、ほんとガチのブルースマンじゃないですかそれ、イメージの(笑)

岡村 でもクラプトンとかボブ・ディランとか、すごく感じますけどね。でも小出くんにはなんかその、あんまり酔いどれ感が感じない。

小出 まあ酒飲まないですからね。

岡村 ねー。

小出 まずね。そうか、岡村さんがでもそんなクラプトンガッツリ聴いてたってちょっと意外でしたね。

岡村 中学生のころすっごい聴きましたね。ビートルズ、クラプトンは繋がってましたしね、すごい聴いてましたね。だからその、当時出てきた、さっきも言ってたちょっとアーシーな南部っぽい音楽とか、ザ・バンドとか、ちょっと関係ないけどリトル・フィートとか、ボブ・ディランがちょっと南部っぽいことやったりとか、色んなその……繋がってんですよ、あの辺りは。毛細血管のように。だからその、ビートルズから手繰っていって、色んなその、今言ったようなアーティストを聴くみたいな人多かったんじゃないですか。僕もそういうことしましたけどね。

小出 僕の時にはもうとっくにその枝分かれが、もう広くなりすぎてて。

岡村 ね(笑)

小出 そうそう、辿りきれなくなっちゃったんですけどね。気づいたらもう「チェンジ・ザ・ワールドおじさん」って思っちゃってたから。

岡村 (笑)おしゃれでかっこいいね、渋めの(笑)

小出 そうそうそう(笑)はい。ということでエリック・クラプトン特集でございました。

小出 岡村靖幸さんと僕Base Ball Bear小出祐介がお送りしてきた『PREMIUM ONE』。もう早いもんで第3回も終わりでございます。

岡村 はい。

小出 今日もなんか色々話しましたね。

岡村 話しましたね。

小出 クラプトン談義楽しかったですね。

岡村 楽しかったですね。

小出 なんかこういうギターヒーロー談義とかもいいですね。

岡村 いいですね。

小出 はい、どんどんこの番組で色々音楽紹介してみたいと思っております。

岡村 いや~、初めてそういうこと知る人もね、いるんじゃないですかね。

小出 そうですね、いると思います。

岡村 小出くんの意外な部分。

小出 そうですよね。『ラッシュ』のサントラ聴いてたとか。

岡村 そうそうそうそうそう。みんな「ほえー!」と思ってんじゃないですかね。

小出 (PREMIUM ONEの紹介)

小出 はい。じゃあ最後にうちの曲ですね。

岡村 はい。じゃあお別れにBase Ball Bearの曲いきましょうか。

小出 はい。Base Ball Bearで『「それって、for 誰?」part.1」』

岡村 ということで、『PREMIUM ONE』、この時間は、岡村靖幸と。

小出 Base Ball Bear 小出祐介でした。


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*1:「昨日と今日が知らずに入れ替わってたとしても気づけないような日々を歴史と呼べず悩んでた」、歌詞が凄すぎる。槇原敬之 Fall 歌詞 - 歌ネット

*2:正しくはMOON RECORDS。YMOなどが所属したアルファレコードの関連会社として創業し、現在は実質的に山下達郎竹内まりや夫妻のプライベートレーベルとなっている。

*3:1993年のアメリカ・フランス・日本合作映画。ロッキー山脈に不時着した武装強盗団と山岳救助隊員の戦いを描いたサスペンス・アクション映画。

*4:なんか知ってる……なんか……ジョジョだーーーーー!!!!!!!!

*5:マイクの設置方法に関する概念。マイクの設置位置や距離などで録れる音が変わる

*6:エリック・クラプトンと共演経験がある

*7:アイ・ショット・ザ・シェリフ (Live) - YouTube

*8:アメリカのブルースギタリスト、シンガー。シカゴ・ブルースの第一人者的存在。

*9:ブルース、ポップ、サイケデリアを融合させたサウンドを展開し、ジャズやブルースなどで行われているライブでの即興演奏(インプロビゼーション)をロックに導入した先駆者。スタジオ録音で数分だった曲をライブでは10分以上かけて演奏することもあった。また、ワウを流行らせるなど当時の最新機材を駆使した大音量のエレクトリックサウンドから、ジミ・ヘンドリックスと共1960年代におけるハードロックの源流とされるグループの一つであり、同ジャンルの基礎を創り上げたとも評されている