岡村 どうも岡村靖幸です。
小出 どうもBase Ball Bear小出祐介です。いや~……
岡村 ね。
小出 すごいですよね。
岡村 すごい。
小出 あの~、僕と岡村さんでやるなんていうこと想像できました?
岡村 ……できたね。(笑)
小出 (笑)マジですか。どの段階でですか?
岡村 ん~……なんかやりたいなとはずっと思ってましたよ。
小出 あ、本当ですか。
岡村 あの~ほら、ずっと番組観てたじゃないですか、あの、あなたの。
小出 あ、僕がやってる。
岡村 ネットのやつ*1ね。……すっげ~なぁこの喋りっつって。
小出 (笑)
岡村 あ、この人と一緒に喋ったらこう……きっと面白いんだろうなと思いながら見てましたけど。
小出 ありがたいです。
岡村 完成度がね。生で観れなくてもアーカイブがあるから観てほしいですけど。すごいですよ完成度が。
小出 いきなり僕をそうやって褒めちぎってくれることによって大変ハードルが上がりましたけどね。
2人 (笑)
小出 でも岡村さんその、ラジオとかレギュラーを持つみたいなのって……
岡村 久々じゃないですか。
小出 昔はやられてた?
岡村 まあまあやってましたね。いくつかやってました。小出くんは?
小出 僕もそれこそTOKYO FMで。
岡村 あ、ほんとに。
小出 『SCHOOL OF LOCK!』*2でずっとやってて。
岡村 あ~はいはいはいはい。
小出 それに岡村さんもね、出ていただいて。*3
岡村 出ました出ました出ました。懐かしいですね。
小出 懐かしいですね。でもまあそれ以来ですよ。ラジオでこうやって岡村さんと喋るの。
岡村 あ、ほんと。
小出 だからこれから、まあ今日初回ですけど、どうなってくのか。
岡村 よろしくお願いしますっ!( ー`дー´)キリッ
小出 (笑)襟をピッとして。
岡村 はぁい。
小出 それじゃあ1曲聴いていただきましょうか?
岡村 はい。
小出 まずはさっそく、アレを!
岡村 はい。
小出 じゃ岡村さん曲紹介お願いします!
小出 i-dioの高音質音楽レコメンデーションチャンネルTS-ONE、この時間はBase Ball Bearの小出祐介と。
岡村 岡村靖幸がお届けしている『PREMIUM ONE』。
小出 はい。この曲、もうすげ~、今でも掛かってるし……
岡村 バンドでもやってくれてるんでしょ?
小出 やってます。うちのバンドバージョン、Base Ball Bearバージョンでやったりとかしてますけども。これも結構前ですねでも。
岡村 経つ?
小出 でもまだ鮮度が。
岡村 あるある。
小出 ありますよねえ。
岡村 うん。何年経つ?
小出 いや、作ったのは多分もう3年~ぐらい前ですよね。実際。
岡村 そうですね。
小出 多分もう曲の一番初めに、ド頭のギター弾いて。
岡村 そう、小出くんがね。
小出 で、岡村さんと一緒にこのトラックの中で歌い合いっこして曲作って……みたいなのを始めたのは、実際4年くらい前です。
岡村 あ、そんな前になる。
小出 なりますなります。で、ちょっと寝かせて、改めて岡村さんとの曲ってことで、まあ作り直したような感じだったじゃないですか。
岡村 でもこれ詞がほんと素晴らしいよね。
小出 いやあ、ありがとうございます。褒めていただいて。
岡村 サクッと出たのこれ?
小出 これは~、う~ん、でもそんなに悩んでない方でしたよ。
岡村 すごいよねえ。すごいですよ。『愛はおしゃれじゃない』っていうタイトルも素晴らしいしね。
小出 ありがとうございます。でもこれね、岡村さんが『愛はおしゃれじゃない』は……僕はほら、要はタイトル候補みたいなのをたくさん持ってきてて、そこの中から岡村さんが「あ~『愛はおしゃれじゃない』がいいね」って言って、そこから広げて……
岡村 でしたっけ。
小出 でも岡村さんがやっぱこれにまずアンテナが引っかかってなかったら、始まってないから……
岡村 はいはい。
小出 だからやっぱさすがですよ。
岡村 いえいえいえ……
2人 (笑)
小出 褒め合いっこするってのがね。
岡村 いや~すばらしいし。よくツイートされてるよ。
小出 あ、そうですか?
岡村 うん、『愛はおしゃれじゃない』っつって。
小出 あ、このフレーズが?
岡村 うん。
小出 あ~じゃあやっぱその、キャッチコピー的に作ったじゃないですか。
岡村 いいんじゃないですかね。
小出 それがやっぱ効いたんですかね。
岡村 たぶん。
小出 ライブでも結構やってます?今でも。岡村さんも。
岡村 やってますやってます。
小出 いや~嬉しいです。もう爆盛り上がりですか?
岡村 はい。
小出 ばく……爆モテ?
岡村 ばく……爆モテ?(笑)まあ、盛り上がってます。
2人 (笑)
小出 この『PREMIUM ONE』では、音楽ジャンルや聴き方にこだわった様々なプログラムがありますが、この時間は岡村靖幸&小出祐介がこだわりの選曲、そして音楽談義をその時の気分で色々していきたいと思っております。で、ここからちょっとそれぞれ掛けたい曲を掛けて行こうと思うんですけど、岡村さん掛けたい曲何か持ってきていただけましたか。
岡村 僕はね、あれなんです。あの~よくね、ストレッチとかやってる時に、SEX山口さんという人のミックステープをよく聴くんですよ。
小出 まずちょっとその、ストレッチってなんなんですかそれ。
岡村 ストレッチって誰だってやるじゃないですか。
小出 いやいや(笑)やりますけど、ストレッチが日常の一部かのようにおっしゃってたから。
岡村 う~ん?まあ日常でやりますよストレッチは。
小出 ストレッチは……やっぱ踊るから大事なんですか。
岡村 ん~……まあまあ、まあ普通に週に定期的にやって、その時曲を掛けるんですよ。
小出 なるほど。
岡村 で、そのアゲアゲじゃなくて、ある程度こう……ちょっとムードあるやつを掛けるんですけど。
小出 筋が伸びるような。
岡村 はぁい。
2人 (笑)
岡村 その時に、この曲全く知らなかったんですけど、良い曲だな~と思って。小出くんにちょっと聴いてほしいなあと思って。
小出 お~ぜひぜひ。聴きたいですね。
岡村 聴いてみましょうか。
小出 はい。じゃあ曲紹介お願いします。
岡村 はい。キリンジで「愛のCoda」。
小出 めっちゃ良い曲っすね。
岡村 良い曲っすね。
小出 こう、なんか……キリンジさん僕曲もすごい好きなんですけど、やっぱ歌詞すごいなあと思って、今歌詞見ながら聴いてたら。
岡村 いいですよねえ。
小出 すげえ映像的ですよ。なんだけど、説明的ではないんですよ。適度に抽象的なんだけど、すごく映像的。
岡村 そうですね。
小出 ねえ、なんか絵画的な感じでもあり、こうなんか、フィルム的でもあるっていうね……めっちゃ良い曲っすね。
岡村 そうですね。
小出 じゃあ僕の曲いきますか。
岡村 はい。
小出 え~じゃあ僕が今日ご紹介するのは、オデッセイという、ボーカルグループですかね?って言えると思うんですけど。
岡村 最近の人たち?
小出 ではないですね。ディスコど真ん中の方たちなんですけど。『Going Back to My Roots』って曲で。あの~ホーランド=ドジャー=ホーランド*4。あれですね、モータウンの。原曲がラモント・ドジャーのソロの曲で。これもなんかすごいダンスミュージックのクラシックとして有名なんですけど、それのまあカバー版なんですけど。色んな人がカバーしてるんですよ。リッチー・ヘヴンスって知ってます?
岡村 知ってます。
小出 ウッドストック*5のオープニングで演奏してた、フォークギターのおじさんなんですけど。その人のバージョンもめっちゃかっこいいんですけど。で、このオデッセイのバージョンはまあ、より王道のディスコと言いますか。
岡村 ふ~ん。
小出 ディスコも色々聴いていくと、凄いドープなとこまで行くと、なんかこう決してキャッチーではないのにループが続くみたいな、こう……10分くらいの曲とかあったりするじゃないですか。
岡村 ありますね。
小出 っていうのとは全然違って、すごいこう章立てというか、場面展開がすごいちゃんとしてて。
岡村 構成がきちんとされている。
小出 構成がきちんとしてます。それも原曲通りっちゃ原曲通りなんですけど、原曲のネタをしっかりディスコに……
岡村 転化されてる。
小出 転化されてるって感じの曲ですね。だからもうアカペラから始まって、ギターが入っていって、楽器紹介みたいな感じで始まったりするんですよ、曲が。っていうのがもうめっちゃアガる。
岡村 へ~(笑)
小出 で、ドイントロに入った瞬間「イェーイ!」みたいな。(笑)
岡村 へ~(笑)俺、ダンクラすごい好きっていうのは意外でしたけどね。ダンクラ話したことないんで、小出くんと。
小出 あ~でもそうですね。まあでも、僕もそんなすごいめっちゃ詳しいってわけじゃないですけど、でもやっぱ好きなものっていうと、結構その辺が出てくるというか。
岡村 僕あんま知らないんですよ。教えてくださいじゃあ。
小出 じゃあそうですね。この番組で今後も紹介したいと思います。それではオデッセイで『Going Back to My Roots』。
小出 はい、聴いていただきました。オデッセイです。ま~これもバージョンいっぱいあるんで。
岡村 はい。
小出 例えばリミックスだったりとか、リテイクだったりとか、オデッセイの『Going Back to My Roots』だけでもすげえたくさんあるんですけど。
岡村 この曲が飛び抜けていいの?
小出 僕はそうですね。オデッセイってしかも時期によって、すごいちゃんと時流に合ったことをやる人たちなんですよ。
岡村 ふんふん。
小出 だからこれは70年代の曲ですけど、80年代になるともっとブラコン*6っぽいこともやっていくし。この時期のオデッセイが僕は好きって感じですかね。
岡村 なるほど。知りました。
小出 (PREMIUM ONEの紹介)
じゃあ続いてはお題の選曲ということなんですけど。今回のお題は、「高校生の自分に聞かせたい一曲」。
岡村 そうですね、卒業シーズンみたいなことですよね。
小出 ですねえ。もう3月なんで……あれですよね、まあもう卒業されてる方はされてるんですかね。高校生とかは3月頭ですよね、大体。
岡村 なんかこう、凛とした気持ちになる?その頃のことを思い出すと。それともなんか……あぁ?(# ゚Д゚)ってなる?
小出 僕はもう最悪でしたね。高校3年生が暗黒時代だったんで……
岡村 言ってましたねえ、なんかね。
小出 だからもう、学校早く終わんねえかなってずっと思ってたんで。
岡村 呪ワー(のろわー)だったんでしょ?
小出 呪ワー(笑)呪いまくってたんで。呪ワーだったんで(笑)
岡村 呪ワーだったんですもんね(笑)僕が選んだのは、僕はなんかこう……なんつったらいいんでしょうね……その、振り返る。当時のことを思い出として振り返る、みたいなので、こう……切ない気持ちになるよね、みたいな感じの内容の曲だったと思うんですけど。
小出 はいはいはい。
岡村 聴いてみますか。
小出 まず聴いてみましょうか。
小出 めっちゃいい曲っすね。
岡村 いいっすね。詞がね。
小出 歌詞凄いっすねこれ。さすが松本*8さん。
岡村 そうっすね。あとイケイケだったんですけど、ちょっと諦観が入って……ちょっと諦めも入ってるし、切なさも入ってるみたいなんで、随分印象的でしたけどね。
小出 う~ん。当時松田聖子さん、リアルタイムでやっぱ聴かれてました?
岡村 聴いてました。
小出 めっちゃ好きでした?
岡村 好きでしたねえ。ポスター貼ってたから。ポスター貼ってた人っている?
小出 僕ですか。広末涼子さんっすね。中1の時に広末涼子さんブームがワーッてきて、もう部屋が埋まりましたよ一旦。
岡村 へ~。
小出 一旦、広末涼子で埋まりましたよ。
岡村 (笑)大ブームが来たのね。
小出 大ブームでしたね。もう周り全員広末涼子さん好きでしたからね。
岡村 ルックスだけじゃなくて曲とかも?
小出 曲はでもねえ、後付け……後ノリだと思うんですよね。まずは広末涼子という人がブームになって……その後に……
岡村 「可愛いぞ」と。
小出 「可愛いぞ」から始まって、ドコモのCM。その後に『MajiでKoiする5秒前』で……
岡村 恋してた?
小出 完全に恋してました(笑)
岡村 (笑)
小出 結婚すると思ってましたもん。
岡村 え~(笑)
小出 結婚すると思ったりしなかったですか?松田聖子さんと。
岡村 それはなかったですけど、好きでしたね。
小出 ポスターを貼るほど好きだった人は聖子さんだけですか?
岡村 女の子は聖子さんだけだったかも。
小出 他は誰か貼ってました?貼ってたんですか?埋めてました?
岡村 貼ってました。ビートルズとかも貼ってたことあったし。小学生の頃ですね。貼ってましたねえ。
小出 小学生でビートルズ貼るんすか。
岡村 貼ってましたね。昔ね、レコード買うとついてきたんですよ。今もついてくるか、そういうこと。
小出 それどんな気持ちで貼ってるんですか?
岡村 ……「めっちゃ良い」って思って(笑)
小出 (笑)
岡村 あのね、すごかったの。曲良い、歌詞良い、詞が良い、本人の声良い、ルックスも可愛らしい、もうだから物凄かったわけですよ、その良さが。
小出 単純に女の子として松田聖子さん、っていうよりかは、もうちょっとアーティストとしての?
岡村 全部ぐちゃぐちゃになってる感じ。
小出 リスペクトもありますよね。
岡村 リスペクトもありますね。全部ぐちゃぐちゃになってる感じ。
小出 だからなんか今、松田聖子さんの曲とかフラットに聴くと、AOR*9に聞こえるじゃないですか。
岡村 そうですね。
小出 僕ちっちゃい時に親父が車で掛けてた曲が自分の音楽ルーツでもあって、だからディスコも実はそうなんですよ。ディスコ・AORがそうなんですけど。普通に松田聖子さん掛かってたんですけど、僕アイドルの方だって思ってなくて。
岡村 あ~そうですね。本格的だからね、曲のクオリティも高いし。
小出 そうそう。だから後々聖子ちゃんカットみたいなことがあったとか、お母さんも若い頃は聖子ちゃんカットの~みたいなことを言ってて、「何言ってんだこの人?」と思ったら、あ~アイドルだったんだこの人……ということを後で知るみたいな……。俺もまあちっちゃい時の話ですけど。
岡村 じゃあがっつり好きだったのは広末さんだったの?歌手は?アイドル歌手みたいな。
小出 最初は安室ちゃんじゃないですか?
岡村 安室ちゃんになるんだ。
小出 安室奈美恵……アムラーのブームの時に僕ちょうど小学校高学年くらいで……
岡村 曲聴いて「曲良いわあ」と思ってたの?
小出 いや見た目可愛いじゃないですか。
岡村 見た目可愛い(笑)
小出 見た目可愛いっていう。
岡村 好みだったんですね。
小出 いわゆる小室さんのプロデュースの時代になると、ギャル的な方向に向かうんですけど、その直前?に、『TRY ME』*10って曲があったんですけど、あの曲の頃とか、「うわあ!」っていう。「やばい!うわあ!」っていう感じがあって。
岡村 へ~(笑)
小出 安室さんが出てらっしゃる番組とか見たりとか。っていうのが始まったのが、たぶんアイドル好きみたいなのの始まりだと思うんですけどね。
岡村 ふ~ん。
小出 モーニング娘。とかは全然その後なんで。
岡村 あ、そうですか。
小出 中学生入ってからなので。
岡村 レコードとかも一生懸命買ってました?その頃。
小出 僕はもうレコード買ったことなくて、CDでしたけど、最初から。
岡村 あ、レコードっていうか、CDは。
小出 そうですね、熱心に買ってました。親父に「すみません」って言って。
岡村 「良い曲だわ~」とか思ってたの?
小出 「良い曲だわ~」とも思ってましたよ、やっぱり。安室さんは、やっぱり当時はユーロっぽいというか。トランスとかユーロ系だったんで。
岡村 小室さん神だったんじゃない?あの一連のどれも小室さんだったから。
小出 でしたよ。globeも好きだったし、はい。思い出深いっすね。
岡村 なるほどなるほど。
小出 じゃあ続いて僕の選曲なんですけども。橋本潮さんの『ロマンティックあげるよ』。
岡村 (笑)
小出 ここだけ言うと「えっ?」と思うと思いますけど。
岡村 ウケ狙い?って思っちゃうけど。
小出 あの~ドラゴンボールのエンディングの曲ですよね。ブルマが雨が降ってる窓の向こう側を見てる、有名なエンディングですけど。
岡村 (笑)
小出 僕がやっぱちっちゃい時ドラゴンボール観てて、当然、当時から「めっちゃ良い曲だなあ」と思ってましたよ。今でも聴くと、すごい80's感バリバリなんですよ。っていう意味でもすごい良いんですけど、僕なんでこれを高校生の自分に聞いてもらいたいかっていうと、これのベースライン。まあシンセベースだと思うんですけど、めっちゃエグいんですよ。
岡村 へー。
小出 これ……なんでこんなベースラインすごいのっていうのを、高校生の時に、要はこの『ロマンティックあげるよ』を"アニソンなんだけどベースラインやばい"って気づけてるくらいの少年だったら、今もっと違ったんじゃないかって思ってるっていうだけなんですけど(笑)
岡村 (笑)ほ~、そういう気持ち。
小出 そういう気持ちです。で、せっかくi-deoが高音質なんで、ベースラインとかも聞き取りやすいと思うんですよね。っていう耳でもちょっと聴いてもらいたいっていう。
岡村 なるほど。
小出 じゃあ聴いてください、橋本潮さんで『ロマンティックあげるよ』。
小出 はい、橋本潮さんで『ロマンティックあげるよ』でした。
岡村 はい、すごかったですね。
小出 Aメロの裏刻みもおかしいし、Bメロのキックに強引に合わせに行く……
岡村 すごかったね。ドゴッドゴッドゴッって。
小出 そうそう、ド、ド、ドドッドドッ、ってどうやって弾くんだっていう(笑)
岡村 ほんとですね。
小出 それに気づければ、今なんかもっと違ったんじゃないかな~っていう。これ僕の最近マイブームなんですけど。逆バタフライエフェクトっつって。ここでどうしてたら今違う未来に来てたんじゃないかっていう……
岡村 は~なるほどなあ……そういうのたくさんあるよねえ。めちゃめちゃあるよ。
小出 自分のターニングポイントみたいな、ここで分岐点でした、人生の……とかってきっと色々あると思うんですけど。そうじゃなくて、バタフライエフェクト的に遡っていくと、もっと細けえことで色々あったんじゃないかな……あそこで俺例えばシュート決めてたらとか……
岡村 あるよね。俺はもっとなんか自分が積極的な人だったら全然人生変わってたと思う。良い意味でも悪い意味でも。
小出 あ~そうですね。積極的じゃなかったですか?昔から。
岡村 ん~……なかなか女性とかに関しては、積極的に上手にできなかったね……
小出 あ~そうですか。昔から?
岡村 なんかこう……告白とかするタイプ?あなた。
小出 告白とかしないタイプですね(笑)
岡村 だからしてたら別の人間になってただろうし、良い意味でも悪い意味でもね。できないからモヤモヤするから、多分パワーになってんだと思うけど、でもしてたらしてたで素敵な恋愛みたいなのもあったと思うけど。
小出 それは僕すっごい考える1個ですね、確かに。まず学校でうまくやれてたかとかって、その後の人生すげえ大きくないですか?
岡村 大きい大きい。でもそれも良い意味でも悪い意味でも両方あると思う。うまくいってたら良かったのか?今考えると。それがパワーにもなってるから、うまくいかなかったことが。
小出 で、うまくいってたらいってたで、なんかこう……今僕らが抱えてるモヤモヤみたいなものとは無縁の……普通の生活って言ったら語弊ありますけど、会社勤めして、みたいな。まあそれはそれでね、ストレスあるとは思うんですけど。
岡村 そうですよね。
小出 なんかこういう創作の苦しみだったりとか、人前に立つストレスとの戦いとかね、また違った人生なのかなと思いますよね。考えますよね。
岡村 そうですねえ。
小出 じゃあ続いてのお題いきましょうか。
岡村 はい。
小出 第1回目なので分かりやすく……「洋楽に目覚めた1曲」ということなんですけど……あ、じゃあ僕から紹介しましょうか。
岡村 はい。
小出 僕はギター始めたきっかけになる1曲なんですけど。中1の時に初めて聞いた曲で、ディープ・パープルの『ハイウェイ・スター』なんですけど。
岡村 意外。
小出 意外ですか?
岡村 うん。
小出 しかもいわゆるスタジオ版じゃなくて、ライヴ・イン・ジャパン。
岡村 名盤ですね。
小出 名盤ですね。72年の時の日本武道館公演のやつなんですけど。僕最初はね、ギター始めた時はアコギで始めたんですよ。フォークギターでコードの練習してて、1か月2か月したくらいの時に、親父が「ギターやるんだったらこんくらい弾けないとな」ってライヴ・イン・ジャパンをプレゼントしてくれたんですよ。
岡村 そういう物語を聴けば「なるほどな」と思うけど、世代的には全然世代じゃないしょ?
小出 ですね。だって96年とか97年の話なんで。
小出 ですです。っていうタイミングでいきなりディープ・パープルを僕が聴き出すのって変ですもんね。
岡村 変です変です。その物語を聴けば、あ~お父さんのあれだったらね。
小出 親父がやっぱ世代なんで。レインボー*12の来日公演とか観に行ってたらしいんで。
岡村 え!あ、お父さん音楽好きなんだ。
小出 親父が大学時代にバンドやってたんですよ。
岡村 お父さんの影響もあるの?結構、音楽の道進んだのに。
小出 めっちゃあります、めっちゃあります。
岡村 へ~。
小出 さっき言った親父がカーステで聴いてたっていうのもそうだし、親父が学生時代にハードロック全盛で、70年代なんで。その当時に聴いてたのを、ギター始めたきっかけで色々教えてもらった、っていうのはでかいですね。だから僕中1の時はハードロック少年だったんですよ。
岡村 へ~。
小出 日本一早い早弾きやってやると思ってたんですよ。1年で辞めましたね(笑)
岡村 (笑)結構大変だからね。
小出 全然指追いつかなくて。そんなディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」、ライヴ・イン・ジャパンバージョンを聴いていただきたいと思います。どうぞ。
小出 はい。聴いていただきました~。これはCDのジャケットとかで見ると、写真は日本武道館なんですけど、このテイクは大阪なんですよね、これ。実は何日間かあって、今はもうデラックス版みたいな全部入ってるのを聴けるんですけど、最初は編集されたバージョンで、一番いいテイクだけ拾われてて。この『ハイウェイ・スター』は大阪のテイクなんですけど。当時は、いわゆる国内でのディープ・パープルのプロモーション用に録ろうみたいな感じで簡易録音されたやつだったらしいです。
岡村 あ、そうなんだ~。それでこんな音良いの?
小出 そうなんです。終わってから本人たちが「テイク聴いてみっか」って聴いたら「うわめっちゃいいじゃん!」ってなって、これも出そうよっつって、世界流通というか、自分たちのオフィシャルの作品として出ることになったんですって。
岡村 あ~ほんとに。
小出 意外ですよね。
岡村 意外意外。
小出 この当時ディープ・パープルってワールドツアーとか世界中色々回ってて、スケジュールがハードすぎる。それで本人たちの健康管理もままならないみたいな感じで、体調も悪いとか、結構ボロボロというかこのツアーでかなり疲弊してったんですよ、ディープ・パープルって。なんだけど、このテイクがやっぱりすごいよかった。日本が特に公演としてすごいよかったっていうんで。
岡村 そうなんだ~。
小出 っていう作品になってるんですけど、まあ僕のギターヒーローなわけですよ、リッチー・ブラックモアは。当時は広末涼子さんのポスターの中に、唯一広末涼子さんじゃないのはリッチー・ブラックモアなんです。
岡村 (笑)そんなに好きだったんだ。
小出 『Player』って雑誌あるじゃないですか。あれについてたリッチーのポスターを広末涼子さんの中に1枚だけ(笑)
岡村 (笑)そういうバランスで思春期を迎えてたんですね。
小出 かなり不安定ですよ。(笑)
岡村 (笑)めっちゃ広末さんがいる中にちょろっとリッチー。
小出 真ん中の部分にリッチーがいるみたいな。
岡村 でも小出くんらしいんじゃないですかね。今の小出くんもそうだっていえばそんな感じ(笑)
小出 (笑)そんなもんだっていう。でもあの~リッチーは、ここからディープ・パープル入ったり抜けたり繰り返したりとかして、94年にディープ・パープル参加して、抜けちゃうんですけど、当時70年代~80年代のレインボーとかやってた頃のリッチーってすごいプレイ激しかったんですよ。
岡村 激しいですね。
小出 最後はギタークラッシュとかするんですけど、90年代の方、最後のディープ・パープルのプレイとかは円熟期に入ってるんでめっちゃうまいんですよ。
岡村 へ~そうなんだ。
小出 めっちゃうまくて、クラッシュとかもしない。すごい熱さと冷静なのが同居してる、めっちゃいいプレイしてる。
岡村 聴いてみよ。
小出 なんだけど、リッチー好きの人は激しい時代のリッチーが当時の人にとってのリッチーだから、「こんなの大人しい」とか言うんだけど、僕的には90年代のリッチーの方がむしろ完成されてるというか。
岡村 聴いてみます。
小出 ぜひ聴いてみてください。今度リッチーが20年ぶりに、今年2016年の6月かな。今のところ発表されてるところだと、ドイツとイギリスのフェスに出るんですよ。
岡村 あ~!それで騒いでたんだ、ネットであなた!何のことやらと思ったの。「マジか!」とかやってたから。
小出 リッチーが20年ぶりにハードロックセットでライブやるんですよ。
岡村 今繋がりました。あれ何のことやらと思ってたんですよ(笑)
小出 ドイツ一緒に行きましょうよじゃあ。
岡村 いいですよ(笑)何のことやらと……今繋がりました。
小出 じゃあ岡村さんの洋楽に目覚めた一曲を。
岡村 はい。僕はあれですね、小学校……5、6年ですかね。まだネットもないし、ビデオデッキもない。洋楽番組のテレビ番組もなかった。MTVの前ですね。その頃にラジオから流れてきて、良い曲だな~と思った印象ですね。聴いてみますか。
小出 まず聴いてみましょう。
岡村 はい。ELOで「テレフォン・ライン」。
小出 はい、お聴きいただきました。
岡村 はい。
小出 これあれですよね、ジェフ・リンのめっちゃストリングスいいですよ~っていう時期ですよね。
岡村 そうですね、生ストリングスをめちゃめちゃ入れてて。ELOとか聴きます?
小出 僕もまあ適度にって感じですけど。でもやっぱジェフ・リンはそりゃ知ってるって感じですかね。
岡村 ここから1、2、3枚くらいは聴きましたかね、ELO。
小出 この時期のが特に好き?
岡村 この時期と、あと2、3枚、ディスカバリーってアルバムとか何枚かあるんですけど、好きですね。
小出 名盤ですよね、その辺がね。一番有名なアルバムですよね。
岡村 そうかもしれないですね。
小出 なるほど~。
岡村 …………。
2人 (笑)
小出 俺のリッチー・ブラックモアより、あんまりあれですね笑
岡村 (笑)あ、思い入れ感?
小出 あんまり思い入れ感が(笑)
岡村 思い入れ感はないですね(笑)
小出 目覚めた感欲しいなあと思って(笑)
岡村 これ聴いて「あ~洋楽良いな~」と思った時期、小学校5年生、6年生くらいですかね。
小出 僕からすると、小学生の時に洋楽聴くみたいなのってすごい大人っぽいというか、って感じるんですけど。
岡村 でもね、ビートルズがめちゃめちゃ流行ってたので。
小出 世代感もあるんですかね?
岡村 うん、世代感もあると思いますね。で、なんかよくね、アメリカのチャート100とかトップ30とか、そういう番組がたくさんあったんですよ。小林克也さんがやってる番組とか。そういうのよく聞きましたね。だからその、テレビもすぐ終わったし。昔すぐ終わったんですよ。
小出 深夜番組とかなくてね。
岡村 なくてね。で、ラジオよく聴いたりとかしてたし。洋楽の番組たくさんあって、よく聴きましたね、その頃。
小出 親御さんとかの影響って?
岡村 あります。親がすごい映画音楽とか聴いてたりとか、う~ん。カーペンターズ聴いてたりとか、そういうのは影響もあります。
小出 でも、ELOとかもそうですけどビートルズとかも、基本的に自発的にというか?
岡村 そうっすね、まあ流行ってましたよ。
小出 流行ってた?
岡村 流行ってました。
小出 俺、そのタイム感がやっぱね、分かんないんですよね。
岡村 あ~。
小出 僕からすると、ビートルズって教科書の人たちって感じなんですよね。
岡村 ギリギリ流行ってたからね、俺の世代になっちゃうと。ド流行りしてたから。
小出 リアルタイム?
岡村 はい。だってそのさっきのライヴ・イン・ジャパンあるじゃない?あれほぼ原体験だもん。
小出 あ~そうですか。
岡村 あれと、レッド・ツェッペリンの2枚組のライブ盤があったんだけど、超名盤のライブとして、リアルタイムですねほぼ。
小出 へ~~~。
岡村 ここのジェネレーションギャップあるんじゃないですかね。
小出 かもしれないですね。岡村さんもリアルタイムなんだあ、ライヴ・イン・ジャパン。
岡村 ほぼ、ほぼ。
小出 早弾きしました?当時。
岡村 しましたよ。結構しました。
2人 (笑)
岡村 TAB譜見ながら。
2人 (笑)
小出 リッチー・ブラックモアというか、ディープ・パープルとかツェッペリンとかもそうですけど、TAB譜見ても全然わかんなくないですか?
岡村 難しいです。
小出 数字と指とか全然対応されないですよね。あ、TAB譜っていうスコアがあって、要はドレミが読めない人用にというか、ギターとかを弾きたい人用に、音符の代わりに数字が書いてあるんですよね。
岡村 そうですそうです。5弦のなんとかとか。
小出 しかも五線譜じゃなくて弦に対応した譜面になってて。だから6本線が引いてあって、みたいな。それでリッチーのソロとか全く弾けなかったですね。
岡村 昔、弾けるようになろうっていうレコードがあったんですよ。それは例えばソロがあるじゃないですか、ハイウェイ・スターの。そうすると、8分割くらいにされてて、まず前奏弾けるようになりましょうとか言って、まず普通に流れるんですよ、弾いた人の奴が。今度はテンポ半分くらいにした奴が流れるんですよ。3つ目はカラオケが流れるんですよ。これ練習していくんです、ず~っと。
小出 あ~、そういう教則レコードみたいな。
岡村 ありましたね。リッチー・ブラックモアは特にたくさん出てましたね。
小出 へ~、そんなのあるんだ。
岡村 ありました。
小出 じゃあ俺もそれさえあればもっと弾けたかもしれない。
岡村 かもしれないですね。
小出 あ~、じゃあまたバタフライエフェクトが起きましたね(笑)
岡村 (笑)
小出 はい。岡村靖幸さんと僕Base Ball Bear小出祐介がお送りしてきたPREMIUM ONE、あっという間の時間となってしまいました~。
岡村 はい。
小出 初回でしたけれども、結構イケそうですね。
岡村 イケるしね、色んなこと喋らなかったなあと思って。ほら俺、今日「最近はどうですか」みたいな話しようと思ったら、「本番で話しますよ」って言ったけど話さず終わりそうですよね。
小出 このまま終わりますね。
2人 (笑)
岡村 次回じゃあ話す?「最近の僕」みたいなのは。
小出 ですね。そういうのいっぱい聞かせてください。
岡村 あとあれも考えた、色んなコーナーを考えたんだけど俺。
小出 コーナー案を。
岡村 そう、そんでコーナーは色んなこと言うから、これを採用してくれみたいな、その、これは採用します!みたいなコーナー……言ってる意味わかる?
小出 プレゼンしてくれるってことですよね?
岡村 プレゼンのコーナーみたいなのをやろうと思ったんだけど。
小出 岡村さんがそんなポジティブに……
岡村 ポジタブ……ポジティブですよ。
小出 ポジター?
岡村 ポジターですよ。
小出 ポジターなんですね(笑)
岡村 (笑)ポジターですね。
小出 じゃあ次回聞かせて下さい。
岡村 次回ね。
小出 (番組リピート放送のお知らせ)
岡村 じゃあお別れに、Base Ball Bearの曲をいきましょうか。
小出 はい。じゃあわかりました。Base Ball Bearの「不思議な夜」という曲を聴いてお別れしたいと思います。ということでPREMIUM ONE、この時間はBase Ball Bear 小出祐介と!
岡村 岡村靖幸でした。
*1:おそらくフジテレビが運営していたニュースサイト『ホウドウキョク』内で放送されていた『真夜中のニャーゴ』のことではないかと。
*2:2009年9月22日から2010年6月7日、2010年10月5日から2011年1月11日、同年4月5日から2014年3月25日にベボベLOCKS!のコーナーに出演。
*3:2012年7月3日(火)。その時の様子はこちらで観れます。動画→Base Ball Bear × 岡村靖幸 ベボベLOCKS! スペシャル対談特別編 - YouTube 文字起こし→ベボベLOCKS!
*4:ディ・ホーランド・ジュニア、ブライアン・ホーランド、ラモント・ドジャーの3人組ソングライター・プロデューサー。1960年代にアメリカのレコードレーベル・モータウンの専属ライターとして、ダイアナ・ロス&スプリームス、フォー・トップスらに多数ヒット曲を書いた。モータウンにはかつてマイケル・ジャクソンやプリンスも在籍。
*5:1969年8月15日から17日までの3日間にわたってニューヨーク州サリバン郡ベセルで開かれた、歴史的な野外音楽フェスティバル。
*6:ブラック・コンテンポラリー、ソウルの一種。代表的なミュージシャンはホイットニー・ヒューストンなど。
*7:作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実)、編曲:松任谷正隆。
*8:松本隆
*9:アダルト・オリエンテッド・ロックの略語。大人向けのロック。日本のアーティストでは、鈴木雅之やNONA REEVESなど。
*10:TRY ME 〜私を信じて〜
*11:1990年代にロンドンやマンチェスターを中心に発生したイギリスのポピュラー音楽ムーブメント。ブリティッシュ・インヴェイジョン、グラム・ロック、パンク・ロックなど、イギリスのロック黄金期の影響を受けたバンドが多くデビューし、イギリス音楽界を盛り上げた。代表的なのはブラーやオアシス。
*12:イングランド出身のハードロック・バンド。ディープ・パープルのギタリストだったリッチー・ブラックモアが1975年に脱退して結成した。ハードロック・ヘヴィメタルサウンドのバンドの代表格として後発のアーティストに多大な影響を与えた。